
人事考課とは一年、半年などの一定期間における社員の働いた結果を評価し、昇給額や賞与額(ボーナス)、昇進、人材育成に反映させる制度です。
本記事では、人事考課の評価対象、方法、問題点について解説します。
人事考課における評価の対象
人事考課における評価の対象は以下の3項目に区分されます。
1.能力評価
能力評価とは社員の知識や能力に対する評価です。
知識力・技術力・熟練度などの業務を遂行する能力などを評価します。
2.情意評価
情意評価とは社員の行動や態度に対する評価です。
勤怠の状況、業務への取り組む姿勢、業務に対するやる気などを評価します。
3.業績評価
業績評価とは社員の成果や業績に対する評価です。
目標に掲げた業務の成果について、質や量、目標に対する達成度などを評価します。
人事考課の方法
人事考課において、考課対象者の序列や位置づけを決定する方法として以下の方法があります。
1.序列法
考課対象者を総合的に順位を付け評価する方法
2.人物比較法
考課対象者の中からモデルとなる社員を選び、その社員と他の社員を相対的に比較して評価する方法。
3.評価尺度法
評価となる要素ごとに5段階尺度法などで評価し、その総合得点で評価する方法。
4.プロブスト法
あらかじめ、仕事の成果、態度、スキルなどのチェックリストを作り、社員一人一人に対して該当項目をチェックしながら評価する方法。
5.成績評語法
あらかじめいくつかに区分した段階に「優・良・可」などの評語を付けておき、この評語に照らして評価する方法。
6.記録法
業務実績や勤務を記録し、この記録を基に評価する方法。
以上の6項目を使って、あくまで客観的に評価することが必要です。
人事考課の問題点
人事考課では何よりも感情を捨てて客観的に評価を行わなければなりません。
1.ハロー効果
ある一部分だけの優れた点あるいは劣った点が認められた場合、その評価が一部分だけではなく、全体的な評価にも影響を及ぼす。
2.寛大化傾向
考課対象者への同情(評価が低いとかわいそうと思うこと)や考課者の自信欠如によって、実際よりも高い評価を付けてしまう。
3.中心化傾向
評価結果がみな平均点によってしまい、優劣差を出すことが出来ない。
4.対比誤差
考課者が自分の能力と効果対象者の能力を比較して評価してしまう。
5.期末考課
一年や半年全体の評価ではなく、直近の業績イメージで評価してしまう。
以上の5項目を意識して客観的かつ公正に評価を行う必要があります。
まとめ:人事考課とは?方法と問題点を解説【目標管理と人材育成】

人事考課の大切なポイントは、感情を入れずに、客観的に、数字とプロセスをバランスよく評価することです。また、数字だけの結果で評価を行うだけでなく、プロセスにも目を向け評価を行うと、社員のモチベーションアップにも繋がります。
考課者もまた、評価を行うに足りる適正なスキルを持っていなければなりません。スキルが足りないと、上記の問題点であげた「ハロー効果」のような偏った評価になってしまいます。
社員にとって、公正ではない不満足な評価が続くとモチベーションが低下し、いずれ会社を去ることにもなりかねません。
人事考課において、考課者(管理職)の人材育成が必要不可欠であり、優秀な考課者を増やすことが企業の重要なポイントとなります。
優秀な考課者が増えることでモチベーションの高い社員が増え、社員個人個人の力が強い組織を作り、強い企業作りへと繋がるのです。